弁護士コラム

【2026年最新】共同親権とは?〜弁護士が解説する制度の概要と離婚時に知っておきたいこと〜
お知らせ

令和6年(2024年)5月24日に公布された民法改正により、日本でも「共同親権」が導入されることになりました。

これまで日本の離婚制度は、父母どちらか一方だけを親権者とする単独親権制度を採用してきましたが、改正法の施行によって、離婚後も父母双方が親権を持つ選択肢が加わります。

一方で、この制度はまだ施行間もない新しい枠組みで、実際の裁判例や運用上の取扱いはこれから蓄積されていく段階です。

現時点では「こうなる」と断言できる部分と、「今後の運用を見ないと分からない」部分とが混在しており、お悩みの方にとっては情報の取捨選択が難しい領域でもあります。

この記事では、渋谷・神宮前の馬場綜合法律事務所の視点から、共同親権制度の概要、改正法のポイント、弁護士に相談すべき場面、そして現時点で未確定な事項までを、2026年時点の整理として分かりやすくお伝えします。

監修:弁護士 馬場 洋尚
馬場綜合法律事務所代表弁護士 / 保有資格:弁護士(東京弁護士会所属)


東京都出身。令和元年12月、渋谷駅付近で馬場綜合法律事務所を開設。法的問題の最良の解決を理念とし、離婚、相続、遺言、一般民事、企業法務など幅広く手がけています。その中でも離婚・男女問題には特に注力して活動しています。ご依頼者の方と密接なコミュニケーションを取りつつ、ひとつ一つのご案件に丁寧に接することを心掛けています。

監修:弁護士 馬場 洋尚
馬場綜合法律事務所代表弁護士 / 保有資格:弁護士(東京弁護士会所属)

東京都出身。令和元年12月、渋谷駅付近で馬場綜合法律事務所を開設。法的問題の最良の解決を理念とし、離婚、相続、遺言、一般民事、企業法務など幅広く手がけています。その中でも離婚・男女問題には特に注力して活動しています。ご依頼者の方と密接なコミュニケーションを取りつつ、ひとつ一つのご案件に丁寧に接することを心掛けています。

目次

共同親権とは?2024年民法改正の概要

改正の成立と施行時期

「民法等の一部を改正する法律」は、令和6年(2024年)5月17日に成立し、同月24日に公布されました(令和6年法律第33号)。

この改正法は、公布の日から2年以内に定める日に施行されるとされており、2026年4月1日に施行されました。

改正法は、共同親権の導入だけでなく、養育費の確保、親子交流のルール整備など、家族法全体にわたる幅広い見直しを含んでいます。

そのなかでもとりわけ社会的な関心を集めたのが、長く続いた離婚後単独親権制度の見直しです。

離婚後単独親権制度からの転換

これまでの民法第819条は、父母が離婚する場合は、父母のどちらか一方を単独の親権者と定めなければならないとしてきました。

改正法は、この規定を見直し、父母が離婚する際に、父母双方を親権者として定める(共同親権)か、父母のいずれか一方のみを親権者として定める(単独親権)かを選択できる仕組みへと変更しています。

改正の目的(子の利益の確保)

改正法の目的は、「子の利益の確保」にあります。

父母が離婚した後も、父母双方が適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たしていくことが、子の生活の安定や心身の成長に資すると考えられたためです。

ただし、単純にすべての家庭で共同親権となるわけではありません。

DV・虐待のリスクがある場合や、父母の関係性によっては、従来どおり単独親権が維持される仕組みになっています

この見極めが、実務上の重要な論点になります。

共同親権と単独親権はどう違う?

親権の定義と内容

そもそも「親権」とは、未成年の子どもを養育・監護する責任と権限をまとめて指すもので、具体的には身上監護(しんじょうかんご)と財産管理の2つの柱から構成されます。

身上監護は、子どもと一緒に生活をして世話をすることや、しつけ・教育を行うこと、進学先の決定、医療行為への同意など、子どもの成長に関する判断を含みます。

財産管理は、子どもの名義の預貯金の管理や、相続・贈与によって子どもに入ってきた財産の管理を意味します。

単独親権(従来制度)との対比

従来の単独親権制度では、離婚後は父母のどちらか一方のみが親権者となり、その一人が子どもに関する判断をすべて担ってきました。

親権者でないもう一方の親(非監護親)は、原則として子どもの生活や進路に関する法的な決定権を持たず、面会交流の範囲で子どもと関わるのが一般的でした。

共同親権下での父母の権利義務

これに対し共同親権では、離婚後も父母の双方が親権者として、子どもに関する重要な事項について共同して決定するのが原則です(新民法第824条の2)。

進学、医療行為、居所の変更など、子どもの生活に大きな影響を与える事項は、父母が話し合って判断していく形になります。

ただし、「共同して行う」ことが原則だとしても、日常のあらゆる事柄について毎回二人で相談しなければならないわけではありません。

この例外の範囲が、改正法の大きなポイントになっています。

改正法の主なポイント

新民法第819条:親権者の決定ルール

改正後の民法第819条は、父母が離婚する場合において、双方を親権者と定めるか、一方のみを親権者と定めるかを、協議または家庭裁判所の判断で決めるとしています。

協議離婚であれば、父母間の話し合いで共同親権か単独親権かを決めます。

協議がまとまらないとき、あるいは合意しても適切でないとき、家庭裁判所が判断を下します。

改正法は、裁判所が親権者を定めるにあたっての考慮要素に関する規定も新たに設けています

新民法第824条の2:親権の共同行使とその例外

父母双方が親権者となるケース、すなわち共同親権のケースでは、親権は父母が共同して行うことが原則とされます(新民法第824条の2第1項本文)。

ただし、同条は次のような場合について、父母の一方が親権を単独で行うことができると定めています。

  • 他の一方が親権を行うことができないとき(同項第1号)
  • 特定の事項について、他の一方の同意がないとき(同項第2号)
  • 子の利益のため急迫の事情があるとき(同項第3号)
  • 監護及び教育に関する日常の行為をするとき(同条第2項)

この例外設計が、共同親権を実務的に運用可能にしている重要な仕組みです。

特に「特定の事項」について父母の意見が一致しない場合は、家庭裁判所が判断を代替する仕組みも用意されており、意見対立で日常生活が滞らないように配慮された制度設計がされています。

「急迫の事情」「日常の行為」の範囲

現時点の解釈論では、次のようなイメージが示されています。

急迫の事情の典型例として、DVや虐待の危険から子を避難させる必要があるとき子が重傷を負って緊急に手術の同意が求められるときなどが挙げられます。

一方、日常の行為としては、食事や通学といった日々の世話、一般的な通院への同意、衣服の購入など、子の生活の通常の範囲に含まれる行為が想定されています。

ただ、「どこまでが日常の範囲か」「どの程度の緊急性で急迫といえるか」といった具体的な線引きは、今後の裁判例や実務運用の蓄積のなかで少しずつ明確化されていく領域です。

DVなど特別な事情がある場合の扱い

改正法は、DV・虐待の懸念がある事案では、父母双方を親権者と定めることはしないという方向性を明確にしています。

家庭裁判所は、共同親権を定めることが子の利益を害するおそれがあるときは、父母の一方のみを親権者と定めなければならないとされています。

つまり、共同親権はすべての離婚ケースで選択されるものではなく、子の利益の観点からふさわしい事案でのみ選ばれる制度設計になっています。

共同親権が選ばれないケース

DV・虐待の懸念がある場合

家庭内での暴力や子どもへの虐待が疑われるケースでは、父母双方を親権者として定めることで、被害を受けた側が再び加害者と関わらなければならない状況を生み出してしまうおそれがあります。

改正法も、このような懸念がある場合には、単独親権の維持を原則としています。

父母間の信頼関係が破綻している場合

共同親権は、父母が子に関する重要な意思決定を「共同して行う」ことが前提になる制度です。

父母間のコミュニケーションが著しく困難な場合、子どもに関する判断のたびに紛争が再燃するリスクが高く、子の利益に資さないと判断されることがあります。

家庭裁判所の判断基準

協議が調わない場合、家庭裁判所は、子の利益を中心に、父母と子それぞれの関係性、DV・虐待の有無、父母間の協力の可能性、子の意思(年齢に応じて)、これまでの監護の実情などを総合的に考慮して判断するものと考えられます。

ただし、具体的にどの要素がどのように評価されるのかについては、施行後の裁判例の蓄積によって徐々に明らかになっていく領域です。

現段階では、旧制度下での親権者指定の判断基準を参考にしつつ、改正法の趣旨を踏まえて判断されていくことが見込まれます。

弁護士に相談すべき場面

離婚協議・調停での選択の判断

離婚を進めるなかで、「わが家の場合、共同親権と単独親権のどちらが望ましいか」を判断するのは、簡単ではありません。

ご自身とお相手の関係性、お子さまの年齢や意思、これまでの監護の実情、将来の生活設計など、複数の要素を整理する必要があります。

弁護士は、制度の仕組みを踏まえながら、想定される紛争のリスクや、交渉のなかで譲れる点・譲れない点の整理を一緒に考えます。

離婚協議や調停の場での主張の組み立ても、弁護士のサポートがあるかないかで大きく変わる部分です。

意見対立が生じた場合の対応

共同親権となった後でも、進学や居所変更などをめぐって、父母間で意見が食い違う場面が出てきます。

改正法は、一定の事項について家庭裁判所の判断を求める手続きについても整備していますが、実際にどのような流れで判断が下されていくかは、これから事例が積み重なっていく領域です。

こうした意見対立が起きたとき、早めに弁護士に相談することで、感情的な対立が長引くのを避け、子どもに不要な負担をかけない解決を目指しやすくなります。

既に離婚済みのケースでの親権者変更

すでに単独親権のもとで離婚を済ませている方が、改正法の施行後に親権者を双方に変更する申立てをすることも、一定の条件のもとで可能とされています。

ただし、これも現時点では実務の蓄積が乏しい論点であり、家庭裁判所がどのような場合に変更を認めるのかは、今後の動向を踏まえて判断していく必要があります。

共同親権をめぐる現状とこれから

判例・事例の蓄積はこれから

共同親権は、日本の家族法において数十年ぶりの大きな転換となる制度改正です。

一方で、施行直前あるいは施行直後の時点では、実際の裁判例や調停事例は、まだほとんど公表されていません。

交通事故の損害賠償のように、算定表や過去の判例の蓄積によってある程度の見通しが立てられる分野とは異なり、共同親権の実務運用は、文字どおりこれから形作られていく領域です。

運用の明確化には時間がかかる

「どの程度の関係性なら共同親権が認められるのか」「急迫の事情や日常の行為の具体的な範囲はどこまでか」といった点は、今後、家庭裁判所の判断や実務家の議論の蓄積を通じて、少しずつ具体像が見えてくると考えられます。

そのため、ウェブ上の情報や書籍の記述も、現時点での解釈の域を出ないものが多く、将来的にアップデートが必要になる可能性が高いのが実情です。

海外の運用が参考になるが、そのままでは当てはめられない

離婚後の共同親権は、欧米の主要国ではすでに長く運用されてきた制度で、日本の改正法もこうした国際的な動向を踏まえて設計されています。

とはいえ、家族観、司法の運用、父母双方が働く割合、子どもの教育のしくみなど、背景になる社会の姿はそれぞれの国で異なります。

海外の事例は参考になるものの、日本の家庭裁判所でどのように運用されていくかは、あくまで日本の実務の積み重ねのなかで確かめていくしかありません。

記事や書籍に載っている海外の事例をそのまま「こうなります」と受け取るのは、少し慎重になった方がよい領域です。

個別事案ごとに弁護士と検討することの大切さ

このような不確実性があるからこそ、ご自身のケースについては、制度の枠組みだけをあてはめるのではなく、事案の具体的な事情を踏まえて慎重に検討する必要があります。

弁護士に相談する際も、一般的な答えだけに依拠せず、お話を丁寧に聞いてくれるかどうか、将来の不確実性も含めて誠実に説明してくれるかどうかを見ることが大切です。

よくあるご質問(Q&A

 共同親権はいつから始まりますか?

改正法は令和6年(2024年)5月24日に公布され、公布の日から2年以内に定める日に施行されることとされていました。

現在、2026年4月1日に施行されています。

すでに離婚して単独親権になっている場合はどうなりますか?

改正法の施行後に、親権者を父母双方に変更する申立てをすることは、一定の条件のもとで可能とされています。

ただし、どのような場合に変更が認められるかは、施行後の裁判例の蓄積を待たなければはっきりしない部分があります。

具体的なご事情に応じて、弁護士と一緒に検討する必要があります。

父母で意見が対立した場合はどうすればよいですか?

まずは父母での話し合いが基本です。

それでも合意に至らない場合は、家庭裁判所の調停・審判などの手続きを利用することになります。

改正法は、父母の意見が一致しない場合の判断の枠組みも整備していますが、具体的な運用は今後の実務の蓄積のなかで固まっていきます。

再婚した場合、共同親権はどうなりますか?

再婚した場合に共同親権がどのように扱われるかは、個別の事情による部分が大きく、一律の答えはありません。

再婚相手と子どもが養子縁組をするかどうか、再婚相手が子どもの養育にどのように関わるかなど、複数の要素を踏まえた検討が必要になります。

子どもの居所はどう決まりますか?

離婚時に監護者を別途定めた場合は、監護者のもとで子どもが生活するのが原則です。

監護者を定めない場合にも、実際の生活ベースとなる親は父母間の協議などで決まります。

共同親権下でも、日常的な居所は一方の親のもとに置かれることが多くなると見込まれますが、この点も事案ごとに判断していく必要があります。

共同親権にするメリット・デメリットは何ですか?

共同親権のメリットとしては、離婚後も父母双方が子の養育に関わりやすくなり、意思決定の責任を分け合えるという点が挙げられます。

子どもにとっても、両方の親との関係を保ちやすい環境を整えやすくなります。

一方で、父母の関係がこじれているケースでは、重要事項のたびに意見調整が必要となり、紛争が長引きやすいという面もあります。

メリット・デメリットはご家庭の状況によって変わるため、ご自身の事情に引き寄せて検討していくことが大切です。

弁護士費用はどのくらいかかりますか?

相談料、着手金、成功報酬の組み合わせで費用が設定されているのが一般的です。協議で終わるか、調停・審判に進むかによっても変動します。馬場綜合法律事務所では、初回のご相談で事案の見通しと費用の目安をあわせてご説明しています。

馬場綜合法律事務所のご案内

綜合法律事務所としての対応

馬場綜合法律事務所は、東京都渋谷区神宮前に所在する総合法律事務所です。

離婚・親権の問題を含む家事事件のほか、相続、企業法務、刑事、交通事故、債務整理など、幅広い分野でご相談をお受けしています。

渋谷駅・原宿駅・恵比寿駅からアクセスしやすい立地で、初めて弁護士に相談される方にもご利用いただきやすい環境を整えています。

共同親権のように新しく、実務の蓄積がこれからという領域では、制度の正確な理解とともに、法務省や最高裁判所の最新情報、実務家の議論をアップデートし続ける姿勢が大切です。

当事務所でも、改正法に関する情報を継続的にフォローしながら、ご相談にあたらせていただいています。

ご相談方法(LINE・メール・電話)

お悩みの内容について、馬場綜合法律事務所では、LINE・メール・お電話にてご相談をお受けしております。

離婚や親権の問題は、早い段階で選択肢を整理しておくことが、後の納得度に大きく影響します

迷っている段階で構いませんので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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